アイヌのブローチをお土産に

母が気にいているブローチがある。
木でできた三日月形のブローチ。
私が北海道へ旅行にいいたときに買ってきたものだ。
冬、ハイネックのセーターにそのブローチをあわせるのが彼女の定番だ。
 私にとっても、そのブローチは印象深いものだ。
どこで買ったか、今もはっきり覚えている。
初めて北海道を旅行したときのことだ。
昭和新山の土産物屋で買った。
そのお店はアイヌの木彫りを扱っていて、ブローチもその中の一つだった。
ブローチの表面がこげ茶色で、そこに、アイヌの文様が掘られている。
自然の文様といった感じだった。
 ふらっと土産物屋に立ち寄ったときは、民芸品を買うつもりなど全くなかった。
店内には北海道定番の熊が鮭を取っている木彫が置かれていた。
ぐるっと見渡しているとアイヌの文様に目がとまった。
エキゾチックな雰囲気とでもいうのだろうか。
ちょうどそのころ大学で、アイヌ人がどういうことばを話していたのか、テープで聞く機会があり、そういうことも印象に残っていたのかもしれない。
 引き寄せられるようにして買ったものが母のお気に入りとなったのは何かの縁かもしれない。

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